第5回広瀬川学校~作並断層と作並温泉~を開催しました

3月10日(土)に第5回広瀬川学校を開催しました。
東北大学総合学術博物館の高嶋先生を講師に、総勢17名が作並断層と作並温泉の関わりを学びました。

当初の予定では、川を歩いて断層まで行く予定でしたが、雨による増水で陸路を歩いて向いました。
所々にまだ20cmほどの積雪があり、足を取られながらも20分ほど歩いて目的の場所のやや上流の河原に降りました。
そこで観察する断層について高嶋先生からレクチャーをうけ、いざ断層を目指します。

荒沢層は約1500~1600万年前の海底火山の噴出物が堆積した地層で、その上に約1300~1500万年前の海底底の泥が堆積した作並層があり、ここでは断層を境にこの二つの地層を観察することができます。
写真右が下流側(作並層)で左が上流側(荒沢層)。作並層が黒っぽく、荒沢層が白っぽくなっていて、中間部分が圧力で粘土状になっています。
東西からの圧縮で断層が形成され、西側が隆起したことで、やわらかい作並層はより浸食され、固い荒沢層が奥羽山脈を形成する要因になったそうです。

途中の杉の木にクマが登った爪痕がくっきりとついていました

 

断層を観察した後、作並温泉湯の原ホテルに場所を移し、後半のレクチャーです。
作並周辺の地層は古い時代より、四の沢層・奥新川層・荒沢層(2000~1500万年前)、日陰層・作並層(1500~800万年前)、白沢層・三滝層・大手門層・湯元層(800~600万年前)、亀岡層、竜の口層、向山層、大年寺層(600~250万年前)となっており、地球の歴史の中では新しい方の地層だそうです。

アジア大陸と近接していた日本が太平洋プレートが東に移動するのに伴い、ユーラシアプレートも東に延び、(餅を引っ張った時のように)薄くなった中央部分が引き裂かれ、内部から高温のアセノスフィアが吹き出すことで、東北の火山も活発に活動しました。
この時の海底大噴火の火砕流堆積物が荒沢層を形成し、本来であれば白っぽい堆積物が海水と反応して奥新川のグレートストーンのような、エメラルドグリーンの岩石になりました。

火山の活動が弱まると、冷えて密度が高くなり沈み込みます。北上高地を除き東北地方は海の底となりました。
作並も2000mの海底に沈んだことで、作並層には貝などの微化石が含まれています。

作並層から採りだした海底時代の貝などの微化石も観察しました

 

250万年以降に奥羽山脈が隆起し始めたので、作並断層もこの頃にできました。
太平洋プレートが西に移動したことで、東西から押されたことで奥羽山脈が隆起しました。
断層は南北に延びており、その東側には800~600万年前に活動した白沢カルデラなどがあります。
これらは活動が収まった後も高温の状態が続いており、作並断層が地下深くから物質が吹き出す通り道になっていると可能性があります。
別府温泉でも断層に沿って温泉が湧いていることから、断層と温泉は深く関わっているそうです。

詳しいレポートは、後日発行するリーフレットに掲載する予定です。

ご参加いただいた皆さま、講師の高嶋先生、ありがとうございました。